「前払費用ってなに?」「前払費用を用いた仕訳がわからない」「前払費用と前受金の違いってなに?」このような疑問があるあなた!今回はこのような疑問を解決してみましょう!
前払費用とは?
- 前払費用・・・当期計上した費用の内、次期に繰り延べる費用を表す際に用いる勘定のこと。
これだけでは分かりにくいですね。
前払費用がどういうものなのか順番に解説しますので見ていきましょう。
(1)当期2022年6月1日に1年分の保険料12,000円を支払ったとしましょう。
※1か月の保険料は1,000円とします。
(2)当期2023年3月31日に決算日を迎えたとしましょう。
当期、保険料12,000円を支払ったので、「当期の費用」は12,000円になると思いますよね?
ですがそれは間違いです。
それではなぜ間違いなのか見ていきましょう。
当期、1年分の保険料12,000円を支払いましたが、当期費用は2022年6月1日から2023年3月31日までの10か月です。
1か月の保険料は1,000円ですので、当期の保険料は10か月分の10,000円となります。
そして、残りの保険料2,000円は次期の費用となります。
そしてこの「保険料2,000円」を「次期に発生させる」際に用いる勘定が「前払費用」なのです。
当期に発生した費用を「当期分の費用」と「次期分の費用」に区別するのはなぜ?
これは、企業が「当期の費用」と「次期の費用」を区別して決算を行いたいからです。企業は、当期と次期をまたぐ費用や収益を発生させた場合、「当期の費用」と「次期の費用」また「当期の収益」と「次期の収益」に区別します。
前払費用を用いた仕訳の手順について
前払費用がどういうものなのか分かりましたか?
それでは実際、どのような流れで前払費用を用いた仕訳が行われるのか手順を見ていきましょう。
(1) 当期2022年6月1日に1年分の保険料12,000円を現金で支払ったとしましょう。
この場合「保険料12,000/現金12,000」という仕訳を行います。
(2) 当期2023年3月31日に決算日を迎えたとしましょう。
ここで前払保険料(前払費用のこと)を用いて「当期の費用」と「次期の費用」に区別します。
この場合「前払保険料2,000/保険料2,000」という仕訳を行います。
(3) 次期2023年4月1日に再振替仕訳を行います。
この場合「保険料2,000/前払保険料2,000」という仕訳を行います。
※貸方(右)に「前払保険料2,000」とすることで、2023年3月31日の決算日に計上した借方(左)の「前払保険料2,000」を相殺することができます。
そして借方(左)に「保険料2,000」とすることで、次期期首4/1以降の保険料を発生させることができます。
前払費用を用いるのはなぜ?
前払費用(前払保険料)を用いることで、次期に保険の補償を受ける権利を所有していると表すことができます。
詳しく説明すると、当期、保険料12,000円の支払いは済んでいるため、次期は2か月間保険の補償を受ける権利がありますよね?そのため当期、前払費用(前払保険料)という資産の勘定を用いることで、「保険の補償を受ける権利を2か月分所有している」ということを表すことができます。
※貸方(右)に「保険料2,000」とすることで、当期支払った保険料12,000円から2,000円分を減少させることができます。
※借方(左)に「前払保険料2,000」とすることで、次期に保険の補償を受ける権利を所有しているということを表しています。
前払費用と前払金の違いとは
前払費用とは、当期計上した費用の内、次期に繰り延べる費用を表す際に用いる勘定と説明いたしました。上記の「前払費用を用いた仕訳の手順について」で説明したように、保険料などの費用を次期に繰り越す際に用いるものです。
一方で前払金とは、商品購入時、事前に手付金を支払った際に用いる勘定です。
前払費用と前払金はともに資産に分類されますが、使う用途は全く異なります。
前払金については「前払金・前受金は資産?それとも負債?」で説明していますので、ぜひご覧ください!
本日のまとめ
- 前払費用とは当期計上した費用の内、次期に繰り延べる費用を表す際に用いる勘定のこと。
- 当期の費用と次期の費用を区別する際に、前払費用を用いる。
- 前払費用は資産の勘定。
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