今回は三分法での記帳方法を理解し、「仕入」「売上」「繰越商品」を用いた決算整理仕訳についても例題を通して理解しましょう!
三分法とは?
三分法・・・「仕入」「売上」「繰越商品」という3つの勘定科目を用いた記帳方法。
商品売買取引では、「三分法」での記帳方法以外に「商品」「商品売買益」という勘定科目を用いて仕訳を行う「分記法」もあります。
しかし簿記の試験では「三分法」での記帳方法が出題されるため、当サイトでは「分記法」については触れずに、「三分法」による記帳方法を解説いたします。
三分法を用いた商品売買の仕訳について
それでは三分法を用いた商品売買の仕訳について例題を通して理解していきましょう。
例題1
- A会社はB会社から300円のスリッパを5足仕入れ、現金で代金を支払いました。
300円のスリッパを5足仕入れたので、借方は「仕入1,500」となりますね。
支払いは現金でしたので、貸方は「現金1,500」となりますね。
仕訳は「仕入1,500/現金1,500」となります。
例題2
- A会社はC会社に上記のスリッパを500円で3足売り、現金で代金を受け取りました。
A社はこのスリッパを500円で3足売ったので、貸方「売上1,500」となりますね。
現金で代金を受け取ったので、借方「現金1,500」となりますね。
仕訳は「現金1,500/売上1,500」となります。
例題3
- 決算日を迎えたので決算整理仕訳を行いました。
商品売買の仕訳を三分法を用いて行った際は、必ず決算整理仕訳を行わなければなりません。
それではなぜ決算整理仕訳を行うのでしょうか?
下記の図をご覧ください。
①仕入勘定には300円のスリッパを5足仕入れた為、1,500円の「仕入原価」が記入されています。
②売上勘定には500円でスリッパを3足売った為、1,500円の「売価」が記入されています。
上記の図の状態は、正しい経営成績ではありません。
- 上記の図の①1,500と②1,500では利益が0。
300円のスリッパを500円で3足売った為、600円の利益がでなけばなりません。 - また300円×2足=600円のスリッパが在庫として残らなければいけません。
三分法は上記2点が分からない為、決算時に決算整理仕訳が必要になります。
- まずは600円の利益が出たことを表しましょう。
仕入勘定には「売上原価」ではなく「仕入原価」(300円×5足=1500円)が記入されています。決算整理仕訳では、仕入勘定で「売上原価」(300円×3足=900円)を表すように修正を行います。
今回300円のスリッパが3足売れた為、残り300円のスリッパが2足残っています。
下の図のように仕入勘定の貸方に③在庫のスリッパ2足分(300円×2足=600円)を記入することで差額で売上原価を表すことができます。
そして売上と売上原価の差額で今回の利益である600円を求めることができます。
- 続いて300円×2足=600円のスリッパの在庫を表さないといけません。
原価300円×2足=600円のスリッパは在庫となります。
資産の勘定科目「繰越商品」を用いて、600円の在庫があることを表しましょう。
下記の図のように借方に④在庫のスリッパ2足分(300円×2足=600円)を記入することで在庫の存在を表すことができました。
この一連の修正から例題3の決算整理仕訳は「繰越商品600/仕入600」となります。
借方「繰越商品」は期末商品棚卸高(在庫の商品)の増加を表すことができ、貸方「仕入」は当期仕入れた分(1500円)から、在庫商品の原価(600円)を減らすことで、仕入勘定で当期の適切な売上原価を表すことができます。
本日のまとめ
- 「三分法」とは「仕入」「売上」「繰越商品」という3つの勘定科目を用いた記帳方法。
- 「三分法」以外に「分記法」による記帳方法もあるが、簿記の試験では「三分法」による記帳方法が出題される。
- 「三分法」を用いた場合は決算整理仕訳が必要!
- 決算整理仕訳を行う前は「仕入勘定」に「仕入原価」が記入されているため、「仕入勘定」で「売上原価」を表すように修正を行う。修正を行うことで「売上」と「売上原価」の差額で当期の利益を求めることができる。
- 「繰越商品」を用いることで当期の在庫の存在を表す。
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